文学はおいしい。
日本の近現代史を彩る文学作品を食べ物を通じて味わう。ジャーナリストらしい滋味を満喫できる。
著者は大手通信社の文芸記者にて、本書は新聞社へ配信された100編の連載をまとめたもの。100種類の食…
本が好き! 1級
書評数:41 件
得票数:554 票
アラ還の会社員です。東京都杉並区高円寺在住。休日は書店巡りや図書館でのんびり過ごしてます。
若い頃は大江健三郎さん、高橋和巳さんなど硬派の純文学が好きでした。高円寺のコクテイル書房がはじめた共同書店「本の長屋」に箱店主として店を出しています。
日本の近現代史を彩る文学作品を食べ物を通じて味わう。ジャーナリストらしい滋味を満喫できる。
著者は大手通信社の文芸記者にて、本書は新聞社へ配信された100編の連載をまとめたもの。100種類の食…
ブラジルへの移民たちの苦難に満ちた暮らしと故国日本への一途な想い。数奇な運命を背負った貴子の魂はそのふたつの間で揺れ続ける。家族の葛藤と絆、「日本人とは?」。著者は重厚に問い続ける。
(上巻より続く) 下巻は、アメリカ人青年ケヴィンが語り手となり、元大使の妻・貴子の数奇な来歴が…
待望の新作小説。著者は「失われゆく日本」への強い信念を、アメリカ人青年の語り手に託して、切なくも奇想天外な物語を紡ぎ出した。気品ある文章と繊細な知的空間に惹きこまれる。
著者は12歳で渡米しイェール大学などで文学を学んだのち、米国の大学で日本近代文学を教えつつ、夏目漱石…
アジア太平洋戦争の敗戦から79年。日本での戦争体験は博物館だけにしたい。
著者である梯久美子氏は、硫黄島で戦死した栗林中将を題材にした『散るぞ悲しき』など、戦争にこだわったノ…
文筆家・小谷野敦の自伝小説。昭和四十年代、幼年期の記憶を克明に再現。「三つ子の魂百まで」というが、「あっちゃん」はやっぱりちょっと変わった子供(オタク)だった。
著者である小谷野敦氏は『もてない男』以来、独自の感性とオタクな知識、学問と学歴へのこだわりや遠慮ない…
アイヌ出自へのこだわりを描く連作短編集。ここから北海道・二風谷を巡るアイヌの家族の物語へと、想像と著者への期待が膨らむ。
経済新聞に掲載された著者のエッセイに導かれるようにして手にしたのが本作。著者・桜木紫乃は、北海道での…
吉田茂、鳩山一郎ら、戦後の基盤をつくった権力者の「温泉政治」の現場を検証。もはや歴史の彼方となった日本社会と政治の変貌を痛感する。
吉田茂といえば大磯の邸宅、鳩山一郎は文京区の音羽御殿が有名だが、二人とも温泉好きで伊豆や箱根に足繁く…
これもひとつの「されどわれらが日々」。
読売新聞の書評で本書の存在を知り、つい衝動的に手にした。読売の評者は同世代の政治学者、苅部東大教授。…
アメリカの図書館ってここまでやるの?図書館司書の視点からの刺激的なエピソードや世界の図書館をめぐる体験や蘊蓄が満載で愉しい。目から鱗が落ちる。
「図書館旅行者」との肩書きに目がとまり手にした本書。自分もかなりの図書館好きだが、著者の図書館愛の一…
グローバル企業「味の素」の途上国のマーケット最前線に密着取材したノンフィクション。グリーンベレー(米陸軍特殊部隊)になぞらえる誇り高き企業戦士たちの奮闘記。
著者である黒木亮氏といえば、銀行員など自らの経験を生かした金融関連の華麗な国際ビジネスを描く作家のイ…
戦争と暴力を防ぐにはどうすればいいのか?文学の課題として真剣に向き合う一冊。
著者は1984年ソウル生まれ。韓国と日本の大学で日本の近現代文学を学び、現在は大妻女子大学で講師を務…
米国の大学で学者として活躍する日本人女性の半生記。自由かつ不平等なアメリカ社会で英語力を武器に人生を切ひらいていく著者の逞しさと切なさが痛快だ。
バーンスタインと二人の日本人とのただならぬ交流をえがいたノンフィクション『親愛なるレニー』が衝撃的な…
雑誌『図書』への2010年から2013年にかけての連載を単行本化。過去の交友や苦い記憶が独特なユーモアで心に響く。反原発に立ち上がった老作家の孤独な戦いの姿も朱玉の言葉と共に心に刻んでおきたい。
本書は一年ごとの四つの章からなる。 第一章(2010年)では、タイトルの「親密な手紙」に例えて…
「発酵博士」として知られる著者の蘊蓄と様々なエピソードが満載。発酵の世界の奥深さをあらためて知るとともに、それらを生み出してきた先人たちの知恵に驚き感服する。
目に見えない微生物の働きを応用して、人類は「発酵」という一大文化を創造してきた。それができた背景に…
たまには意識高く文学と地球環境について語り合おう。一気読みできる「エコクリティシズム」の入門書。
タイトルの壮大さに気後れしたが、自分だってたまには文学とエコ(環境)を語りたい。一気読みできそうな手…
著者は『古事記』『日本書紀』を手に高千穂・日向・出雲ら神話の舞台に降り立ち、現代の住民対立や紛争の解決にあたる。『古事記』『日本書紀』の中身は知らなくても謎解きを十分に楽しめる。
古事記や日本書紀は古代日本の歴史的文献として誰もが知っている。しかし、実際に読んで内容を理解している…
70年ぶりに発見されたナチスの至高の美術品の波乱に満ちた物語。金の欲望にまみれたアート闇世界での美術調査員とナチズムの亡霊とのバトルがスリリングだ。
著者はオランダの美術調査員。200以上の盗難美術品の発見を手がけたという。本著は名うての美術探偵によ…
関東大震災で壊滅した「帝都」は復興を機に一段と拡大し首都機能を強化した。その復興の過程を経済の観点で描く。経済圏のダイナミズムへの着目や遷都などの考察が意義深い。
今年は関東段震災から百年目にあたる。震災の被害の詳細をカラー画像で克明に再現したNHKの番組などが印…
「悪所」とは、色里・遊里、芝居町、そして盛り場。「悪所」に惹かれる人たちの視点から都市の歴史や文化とパワーの源泉をひもとく。複眼的な視座が随所に光る。
1927(昭和2)年生まれの著者は、自身の<人生の磁場>として、三つを挙げる。 第一は、幼少年期、…
文学者として戦後民主主義を全うした大江健三郎。彼の作品と政治的発言の意義を丹念かつ明晰に分析し正確な筆致で論じる。希有な存在であった大江氏亡き今、その喪失をどう乗り越えるのだろうか。
戦後日本を代表する純文学作家にしてノーベル賞作家、大江健三郎氏の逝去は今年3月のこと。すでに半年近く…