波乱へ: 横尾忠則自伝
日常の対極にあるはずの異界が、こんなに静寂で豊穣なものなのだろうか。
ぼくは常に何かを行う時、その目的のために楽しむということを 忘れていたように思ったからだ。 …
本が好き! 1級
書評数:235 件
得票数:3891 票
読むことも書くことも孤独な作業ですが、言葉はいつも語られ受け取られるためにあるものだと思っています。誰かに喜んでもらえる言葉を語ることができれば嬉しいです。できることならば…。
近・現代日本文学を中心に、外国文学、児童文学、医療・健康関係の本、必要に応じて読んだ実用書などについて書いていきたいと思っています。
不定期でアロマテラピーインストラクター、セラピストの仕事をしています。
日常の対極にあるはずの異界が、こんなに静寂で豊穣なものなのだろうか。
ぼくは常に何かを行う時、その目的のために楽しむということを 忘れていたように思ったからだ。 …
その成熟した魂の中から、さらなる「新しい考えが芽吹く」瞬間に立ち会えることの歓び
ル=グウィンといえば、その代表作といわれる『ゲド戦記』シリーズを すぐに思い出される人も多いだろう…
子どもたちの何らかの本能的な部分を心地よく刺激して喜ばせ、なおかつほっこりする絵本
九月といえども、まだまだ真夏の暑さですが、 やはり夜になると、少し涼しい風が吹き、 お月さまも心…
何?! この半端ない熱量…。 漱石と明治という時代への深い愛情を語り尽くす。
夏目漱石は、好むと好まざると(!)ほとんどの日本人が 一度はその作品を読むことになる、数少ない日本…
確信された崩壊の予感を消し去る方法は、はたして見つかるのだろうか
1986年に出版された、村上春樹の6冊目の短篇集。 (糸井重里との共著『夢で会いましょう』を短篇集…
それでいい。どうぞご自由に──一瞬の共感・共鳴によって、読者の心を自由に羽搏かせるウルフの言葉。
ヴァージニア・ウルフの短篇は難しい…という意見を 少し聞いたことがあったのだが、この本を手に取った…
ああ、もう…いい本すぎる!! 二度とない子ども時代の夏休みの時間の楽しさをリアルに描いた物語
令和の子どもたちの夏休みは、なかなか忙しいのでしょうね…。 学校の宿題の量などは、そこまで増えてい…
「こっち、こっち! さあ、一緒に物語を創って楽しもう!」偉大なるパパ・マルケスのマジックは、思った以上に緻密で壮大な器の中で行われていた。
ガルシア=マルケスは、南米コロンビア出身のノーベル文学賞受賞作家であり、 特に近年日本でもその代表…
人間に対する公的な暴力の圧倒的な残酷さを直接知る最後の世代に刻まれた記憶
日本で二人目のノーベル文学賞受賞者・大江健三郎の初期作品集。 文壇デビュー作となった「死者の奢り」…
諸説あるようですが、意外に人間臭い?七夕の物語。
今年(2025年)の七夕は、珍しく全国的に晴れの空模様で、 星のよく見える夜空になったようですね。…
歴史の重さと、そこに現れた人間の姿の悲惨さと滑稽さを直視させることこそ、 この長い物語の最大の狙いだったのかもしれません。
いやもう…参りました。 本当に、もう、降参です。 正直に言うしかないのですが…私にはこの作品…
<そしてすべての血はたどり着く/それが静まる場所に>。 安易な慰めや恩寵に頼らずに、それぞれの人生を肯定し愛おしむ物語
外国文学好きな複数の人が絶賛していた短篇集。 作者のルシア・ベルリンは、1936年アラスカで生まれ…
小さい人たちは、この小さな主人公に自分を重ねて、長くてスケールの大きな旅を一緒に楽しむのではないでしょうか。
今年(2025年)は例年になく雨の降る日が少なく、 梅雨もあっというまに明けてしまいましたが… …
両大戦間の仮初の平和の中で、作家たちは何を見て何を感じていたのだろうか。
翻訳家の柴田元幸氏が、アメリカで発表された短篇の中で 「名作中の名作」を選んで編んだといわれる短篇…
現実と非現実の境界にある無明の世界に触れたときの、曰く言い難い肌感覚を描いた作品群
明治41(1908)年1月から6月までの『坑夫』の連載が終った後、 続けて朝日新聞紙上に発表された…
何もない一日の有難さ、かけがえの無さが伝わってくる作品
初夏のこの時期は、梅雨に入る前、あるいは梅雨の中休みの日などに、 この上ないほど爽やかな、空を見上…
時代の変化を先鋭的に察知し、それに切り込んでいった先駆者としての芥川
これもまた、多くの人が国語の授業等でその一部を読んだだけで、 知っているようで知らない、日本の近代…
厳しい言葉は、大きな期待と深い信頼の裏返し──それは、愛情と言い換えてもよいのではないだろうか。
先日読んだ、安部公房・三島由紀夫・大江健三郎の 三人の作家による鼎談・対談集『文学者とは何か』と …
物語を語ることの意味や覚悟のようなものの重さが、痛いほど心に沁みてくる
1985年秋──今からもう40年まえに出版された村上春樹の短篇集。 手元にある単行本の帯には、 …
信長が思い描いた未来の世界はどんな世界だったのだろうか。
辻邦生というとフランス文学の研究者でもある故、 ヨーロッパを舞台とした作品が多いイメージがあるかも…