零の晩夏 (文春e-book)【Kindle】

どうにもならない圧倒的な力による、辛い経験をしたとき、人はどのような心理になるのでしょう。 そして、そこで芽を出してしまった歪な心理は、どのように作品に影響を与えるのでしょうか。
書いた人が全員亡くなってしまうアーティスト。 その謎を解くべく、アート雑誌の女性が孤軍奮闘。 …
本が好き! 2級
書評数:12 件
得票数:163 票
本について語り合いたく、「本が好き!」に参加しました。育児、家事、仕事で、ゆっくり本が読めない今日この頃。本当は一日中、ビール片手に本を読んでいたい。

どうにもならない圧倒的な力による、辛い経験をしたとき、人はどのような心理になるのでしょう。 そして、そこで芽を出してしまった歪な心理は、どのように作品に影響を与えるのでしょうか。
書いた人が全員亡くなってしまうアーティスト。 その謎を解くべく、アート雑誌の女性が孤軍奮闘。 …

どこまでも不器用で、どこまでも粋なお話。
講談師のような語り口。三人称で物語は進む。テーマは歌舞伎。 芸人にとって、舞台に上がるというこ…

物語のピーク、句読点はなくなり、文章がどこまでも続く。その内容に冷静さは全くない。
暴力的で、セクシャルな文体。こんな文章が世に出ていいものか、判断に困る。表現の自由。なるほど。 ペ…

オカマと住職という、両極端な世界を行き来し、様々な経験をする私。でも、実のところ、両極端でもなんでもなく、本質的なところは、全く同じであると感じた。
ユニクロで、勝手に服を畳みまくる。いかに店員よりも早く、畳まれていない服を見つけるかに命をかける。そ…

がむしゃらに、一生懸命、自分をすり切らしながら生きる。目に見える報酬はいくらでも手に入るのに、本当に欲しいものは手に入らない。なんという無情な世界なのだろう。
時系列がぐちゃぐちゃで、読んでいて気持ちがいい。メディア業界で成功している、43歳の自分から話は始ま…

固定概念を嫌う。大人が引いたレールを嫌う。資本主義を嫌う。真似を嫌う。自分であれと叫び続けた17年間。
17歳、エレキギターを演奏中に感電死した少年の詩画集。わたしは現在37歳。彼が亡くなった年より、20…

官能小説という枠には収まらない。人間の醜さがこと細かく描かれた物語。どうして、こうも生きづらいのか。
官能小説ではあるものの、性的表現だけではないところが、魅力的であった。特に、人間の醜さや、社会の闇を…

テーマは「SEX」。ほんと? 確かに、SEXのことは描かれているけど、そればかりではなく、より重要なことも描かれている。特に、お金と時間に関する考察には、思わず唸ってしまう。
テーマは「SEX」。ほんと? 確かに、SEXのことは描かれているけど、そればかりではなく、より重要…

世間一般で言う大人になり切れず、欲求不満に振り回され、静かにあがく。彼らの希望は描かれず、叶うことも決してない。それでも、サーカスのように、その日限りの喧騒を楽しむ。線香花火のような、不毛な美しさ。
バーでのやり取り。店員さんから、紙切れをもらい、そこには、いついつ会えないか、相談があるというメモ。…

猥談と言うには、あまりに、爽やかで、切なすぎる。性に対する考え方は十人十色。好きすぎて辛い人と、一緒に夜道を歩いているような、そんなお話たち。
【30になるまで相手がいなければ】 女性目線のお話。読んでみて、女性も性欲があるんだなと、当たり前…




時間軸がまぜこぜ。客観的視点による「ぼく」。コード進行でいうと、ドミナントで終わる感じ。全体的に、とらえどころがない、なのにも関わらず、心地よいと感じる、この文体。
【石のまくらに】 何も無かったような話。男女が一夜を共にする。後日、女は自作の短歌を男に送る。男は…




文章の美しさと、書かれていることの醜悪さ、このコントラストに戸惑いを隠せない。
著者の美しい比喩を全て漏らさず、甘受したいと思う。 と意識した瞬間、その気持ちは消滅、先生に対する…