ジェイン・オースティンの読書会
大分前に、プレゼントされてた本なんですが、オースティンが書いたわけでもないし、となんとなく読み損ねていました。ところが、読んでみるとこれが面白い。読書会に集う人達を順繰りに描く短編小説の連作といった構造なのですが、一つ一つの話が面白くて、読ませるのです。さらに登場人物それぞれの話が深まったところで、読書会の場面になると、私たち、という一人称複数でやりとりが描かれます。最初は、誰が語り手?と違和感があったのですが、段々と読んでいるうちに、読者である私自身も読書会に参加しているような気がしてくるのです。それで、「私たちはそれぞれ、自分だけのオースティンを持っている」という冒頭の意味は「あなたのオースティンは?」という問いかけでもあるんだと気づかされました。私自身は比較的脇に甘んじているブルーディのエピソードがとても好きです。オースティンの6作の中では「自負と偏見」「分別と多感」ほどの展開がなく、真面目と評された「説得」が一番好きです。