井上成美





「大日本帝国の軍隊」の新しい「語り方」を
戦前日本の軍隊そのものについて、もっと考え抜いておく必要があるのではないかと感じていたころに読んだ…

本が好き! 1級
書評数:704 件
得票数:8369 票
学生時代は書評誌に関わってました。今世紀に入り、当初はBK1(現在honto)、その後、TRCブックポータルでレビューを掲載してました。同サイト閉鎖から、こちらに投稿するようになりました。
ニックネームは書評用のものでずっと使ってます。
サイトの高・多機能ぶりに対応できておらず、書き・読み程度ですが、私の文章がきっかけとなって、本そのものを手にとってもらえれば、うれしいという気持ちは変わりません。 特定分野に偏らないよう、できるだけ多様な書を少しずつでも紹介していければと考えています。
プロフィール画像は大昔にバイト先で書いてもらったものです。





「大日本帝国の軍隊」の新しい「語り方」を
戦前日本の軍隊そのものについて、もっと考え抜いておく必要があるのではないかと感じていたころに読んだ…





「私の勤務した博物館の収蔵庫には、人さまの注目からは無縁の古地図が数多く収納されている。それらを前にすると、江戸時代には伊能図よりもこちらの方が認知されていたはずと思ってしまう。」(あとがき127頁)
世間には、地図好きも古地図好きも多いようで、研究者も関連書籍も数多い。「伊能図」など大人気で、大型…





「この凄惨な戦闘をとおして、日本人離れした『悪』が思うように支配した事実をきちんと書き残しておかねばならないと。」(「あとがき」、458頁)
ある著名な国民的作家が書けなかった話題が「ノモンハン」であると聞いたことがある。日本が坂の上からこ…





世論調査の過程をブラックボックスにしないために
「世論調査」とは何か。これほど頻繁に言及され、民意の動向を探るのに重要な役割を果たしている割に、ど…





「時にはおれも交じって他愛ない会話に興じたが、そんな時間に価値があるのかと問うたおれにマーヤはその他愛ない会話こそが学校に値すると答えたものだ。」(98頁)
私が米澤作品を読みはじめた頃に手にした1冊になります。一般的にも人気が高い古典部シリーズや…




統計学を一歩下がって「考える」入門書
統計について、特にビジネスマン向けに、「わかりやすい解説」を謳った本がよく目につくようになった。統…





時代を生き抜いてきた数学の強さ
『博士の愛した数式』が小説・映画共に大ヒットして、ちょっとした数学ブームの中で刊行された1冊。一般…





「ふと立ち止まって考えてみると、デザインをめぐる解釈は決して一様ではない。」(「はじめに」より)
近代以降の世界におけるデザインの流れをまとめた1冊。ずいぶん前に買い求めていたものを再読してみたと…





「外部の者とおおらかに付き合える生活のゆとり、文化の高さを、そこに見出せるような気がする。」(陣内「はじめに」vii)
引用したかった部分は全体で以下になります。 「われわれはどこでも歓迎を受け、数多くの家族に家の内部…





その文章を探偵するのは統計学
探偵小説の名探偵達は、暗号や筆跡だけではなく、文章そのものからも多くの手がかりを得る。その鮮やかさ…




作家二人による謎めいた往復書簡小説
二人の作家による往復書簡形式の小説です。奇数は小川洋子氏、偶数は堀江敏幸氏による執筆で、全14通で…





「90%の確率」とは何か?
統計を理解した先、実践に活かすためには何をしなくてはならないのだろう? 研究者でなくとも、われわれ…





「全体を通して”一宮内官僚の見た皇室の危機と大正デモクラシーの時代”といった趣きがある。」(22頁、序章)
古今東西、様々な著名日記が数あれど、ある特殊な面白さで定評があるのが本書が取り上げる倉富日記である…




心理学では何がわからないのか
一見、入門書のようなタイトルをもつが、やさしい入門書というわけではない。心理学が科学としてどのよう…





「そうか、おまえにはまだ、自分を慰めてくれるものなんか必要ではないのだと僕は思った。いまのおまえには、人間と人間が造り出すものだけで充分で、それ以外のものに慰めを求めることなんかないわけだ。」
冒頭の引用は以下のように続きます。 「でも、人は誰だって、いつかはそれだけでは済まされなくなる。…




世論調査(の数字)と政治家との対決
「数字がどこまで信用できるのか」とサブタイトルが付されている本書も、「統計や社会調査での数字がいか…





いかにして数字がつくられ、いかに使われるのか、というプロセスをきちんと把握することの大切さ
「統計」や「データ」の「ウソ」とか「罠」とかという本が少なくない。無色透明なはずの数値が、いかにい…





「世界のどこを見渡しても、日本ほど雑誌のふろくが発達している国はありません。(中略)ふろくー特に子供向けの紙おもちゃふろくは、日本独自の文化だと言えます。」(弥生美術館学芸員・中村圭子、4頁)
浮世絵展の図録を見ていた時に「おもちゃ絵」という言葉を初めて知り、以来、このことばが気になって仕方…





クリストファー・ロビンは、なぜ雨の降る浜辺で幸せを感じたのか?
本書を初めて手に取ったのは大学の図書館だった。著者についても、このことばについても、何の予備知識も…





「没後十年目の命日に墓を詣でた際、彼女に呼びかける言葉を失っていたからだ。いわば亡き須賀さんとの対話が出来なくなっていた。」(356頁)
私が最初に盛んに須賀敦子の本を手にした時は、まだ没後まもない頃だったとはいえ、「須賀敦子のナントカ…