街とその不確かな壁
村上春樹らしく超常的で、リリカルで、少しほの暗くもの悲しい世界。心に響いてくるものを素直に受け取れる人にとっては、多少は不完全でもアートとして感じられるはず。
村上春樹が1980年に文學界に発表した「街と、その不確かな壁」という中編をもとに大幅に改定、補筆を加…
本が好き! 2級
書評数:13 件
得票数:186 票
夏場には読書が進みます。たくさん読んでいるのですが、時間がなくなかなか書評が書けません。どうぞよろしくお願い致します。
村上春樹らしく超常的で、リリカルで、少しほの暗くもの悲しい世界。心に響いてくるものを素直に受け取れる人にとっては、多少は不完全でもアートとして感じられるはず。
村上春樹が1980年に文學界に発表した「街と、その不確かな壁」という中編をもとに大幅に改定、補筆を加…
古代ローマの皇帝ネロの時代に書かれた風俗小説。作者ペトロニウスの脳にアクセスして2000年も前のローマ人の考え方や生きざまに直接触れることができる。まさに「知を楽しむ」小説。
なぜサテュリコンなのかというと、古代ローマがマイブームだからである。古代ローマに関しては庶民や貴族の…
今村氏の作品は作為的な景色がない。自分もしかりだが、色々と世俗的なことがらにまみれた人間にとっては価値がわかりにくいし、まともに対峙するのがつらい。曇ってしまった自分の心を再確認できる一冊。
今村氏の作品は「こちらあみ子」に続いて二冊目だが、やっぱり怖い。怖いと書くと誤解を受けそうだが、いわ…
個人的には「満願」などより好きな作品。自分的には記憶からほとんど消え失せていたリドル・ストーリーという言葉をよみがえらせてくれた。伏線の張り方も丁寧で読み応えがある。
米澤穂信さんの作品はこれが二冊目の読了。以前に読んだ「満願」がうわさほどではなく自分的にはちょっと…
遅まきながらイシグロ・カズオ氏の「日の名残り」を読んでみて驚いた。久しぶりに手ごたえのある作品に出合った気がする。ブッカー賞もノーベル文学賞も当然の帰結と言える。もっとほかの作品も読んでみたくなった。
もうそろそろ、ノーベル文学賞のほとぼりも醒めきった頃だろうと踏んで、イシグロ・カズオの「日の名残り…
ささやかな希望や感動は描かれているものの決して一筋縄ではいかないちょっぴり怖い短編集。
萩原浩(敬称略)の作品は「二千七百の夏と冬」に続いて二冊目。6篇からなる短編集だ。文章には力があって…
静かな時間が流れる美しい作品。行間からはピアノの音が聴こえてくるようだ。調律という一般になじみのない仕事を選択した青年の成長物語だが、ここに書かれていることはあらゆる人の人生にとって共通のテーマだ。
先に読んだ方から「そう盛り上がるところはないよ」と聞かされていたのだが、実際読んでみて純文学だしこれ…
不完全で開発途上のAIみたいな古倉さん。でも彼女は自分が居るべき場所を知っている。どんどん無関心が広がる現代社会でもしぶとく生き残る旧態然とした価値観に人間はどこまで従う必要性があるのだろう?
シュールな小説だ。普通に判断するとこんな人いないよね~気味悪いとなるのだろうが、作者の思惑を実現する…
海外ものは久しぶりに読むが、フランス人と日本人の感性の違いをしみじみ実感させられた。読後感は酷いの一言。ストーリー的に優れたミステリだとは思うものの最後の殺人描写は我が国では許されない。
ご存じのとうり日本では発刊が逆になってしまったので、「その女アレックス」を先に読むとイレーヌの結末が…
宮本輝氏の時を越えて愛され続ける短編集。愚直に純文学らしい手法は小さな偶然や奇跡好きの現代の作家にも見習ってほしい。
恥ずかしながら、宮本輝氏は初読。読書仲間がいいよというのでとりあえず短編集をと思い読んでみた。198…
ストーリーテリングは見事だが、ウエットすぎる愛憎劇にドライな現代人がついていけるか疑問。
正直、湊かなえの小説プロットはあまり好きではない。誤解を恐れず言えば、読んでいて少々酸欠気味になる。…
列車の中で時間つぶしに読むにはいいかもしれない。
周木律の作品は「眼球堂の殺人」以来だが、この作品は奥行に乏しく人間ドラマを含めて表層的な感じががする…
騎士団長殺しは読み手もそれなりの覚悟をもって読まなければいけない。誠意をもって臨まなければ肝心なところを読み落としてしまうだろう。少し強引な展開や冗長な表現があっても作品自体の価値は少しも揺るがない。
この小説には大きなテーマが二つある。それを理解しないと通俗的なファンタジー小説に見えてしまい、評価に…