アイネクライネナハトムジーク
ヒューマン、ライフ、エピソード、サプライズ、ラヴロマンス。これらのワードの前に「Ordinary」を付けると本作の中身が見えてきます。
伊坂作品には人の暗部を曝け出してくるものも多いけれど『アイネクライネナハトムジーク』にはそれ…
本が好き! 1級
書評数:175 件
得票数:1078 票
アマチュアヴァイオリニスト。読書もしかり。
特にバロック音楽を聴くわけではないけれど、好ましく思う作曲家はヴィヴァルディ。クラシックや音楽に通じる書籍のレビューを参考にさせていただいてます。
文学では、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ナボコフ、チャンドラー、漱石、康成、直哉がお気に入り。
感銘を受けた書籍は「グレート・ギャッビー」「ロリータ」「ロング・グッドバイ」「山の音」「城の崎にて」
ヒューマン、ライフ、エピソード、サプライズ、ラヴロマンス。これらのワードの前に「Ordinary」を付けると本作の中身が見えてきます。
伊坂作品には人の暗部を曝け出してくるものも多いけれど『アイネクライネナハトムジーク』にはそれ…
家具は人を幸せにする道具です。けれど良い家具は50年と云わず使い続けられるパートナーにもなり得ます。
イタリアの高級インテリアブランド「カッシーナ」に関する本です。著者はあの俳優の高橋克典(!)では…
多和田葉子がドイツから放った〈キューピッド〉のではなく〈弓道〉の〈矢〉は、彼女の直観(哲学的な意味での)を帯びて日本に居る読者の感情を正鵠に射り胸懐の変化を余儀なくさせた。
一読してハッとしてしまった。小説の構造的にも多和田葉子という作家のアビリティーの豊富さにも。とは云う…
人間とヒューマノイドの違いはなんだろう。自我?ホントに?作者はその違いの一つに「ロボットの重み」と書いた。それを読んで僕はこの作者は信頼していいんだなと思った。
ミステリタッチのSF であったが、なかなか手懐けるのが難しい小説だった。何も難解というだけではなく、…
現在と地続きの世界を描いているだけに、冷や汗をかいてしまう。
舞台は2037年の近未来。インターネットが崩壊し代替としてトゥルーネットという新たなネットワークが発…
拳にものをいわせないハードボイルドな探偵がいたよ。
私立探偵サムスンシリーズの第一作目にあたる本作。ハードボイルドの中でもネオ・ハードボイルドと呼ばれて…
形而上的な会話の応酬。思弁と観念の乱れうち。容易には読み進めさせてくれない現代米文学の曲者。しかしその筆致から繰り出される刺激的なセリフが、作者と対峙しているという読書の実感を味わわせてくれる。
『コズモポリス』は一見スペキュレイティヴフィクションのように思えてしまうけど、一読するとスリップスト…
ポケミスから出てはいるけれど、戦争をテーマとした読み物としての方がしっくりくる。
以前ミステリランキングを賑わわせてくれたデヴィッド・ベニオフの『卵をめぐる祖父の戦争』。でもこの作品…
日本の作家ではないようなセンス・オブ・ワンダー。
ハヤカワの小冊子か何かで推されてたのを記憶していたので、黄色いお店で買っておいたものを引っ張り出して…
読後感によってこの小説の色彩は決まるでしょう。僕の目に移った色は、巷でいわれるモノクロではなく多色。その色がどんなだったかは、手にとって確認して欲しいと思います。
誰しも人生を振り返ってみると、少なからず悔やみきれない何かを抱えていることと思う。「あの時こうしてい…
エキセントリックだけど、心温まるファンタジックな本。
どうやらこの本は文庫化に当たってお馴染みの加筆修正がなされたようだけど、今回は単行本が積んであったの…
自分の読み手としてのメモリを、幾らか上げてくれるであろう個性的な小説論。
佐藤亜紀との出逢いというと今はなきファンタジーノベル大賞受賞作である『バルタザールの遍歴』で、当時の…
労働者階級出身の作家が労働者の「土曜の夜」と「日曜の朝」を描いたピカレスク小説。ただの悪漢物語ではないのが本書のミソだ。正統なる誇り高き英国小説とは違った労働階級の匂い漂う英国小説。英国の懐は深い。
イギリスというとカースト制度のように明確な階級制度はなけれど、伝統的なというか習慣的な(?)階級の線…
タイトルにあるように〔悪貨〕、すなわち〔貨幣〕を主題にした小説だ。貨幣小説としては少し軽めだが、エンタメとしての面も備わっているからこのバランスでいいのかも。なにより作家の鋭利な着眼点に拍手したい
まず初めに一人のホームレスが朝ベンチで起きると足元に現金100万円入った封筒が置いてあることに気づく…
恩田陸の日常と本や映画を織り交ぜたエッセイ集。エッセイを読んでみても小説を読んでみても、恩田陸の作品には郷愁(ノスタルジー)を感じられる。それがなぜか心地よいのだ。
久しぶりの恩田陸のエッセイを読んでみた。恩田陸というと僕の中では書くと飲む(食べる)という印象が強す…
カラヤンとフルトヴェングラーという対照的な二人の興亡史とでもいいましょうか。クラシック音楽というより人間ドラマを描いているが、内容は薄っぺらいので参考程度に読む本にしかなりえない。
クラシックを聴く人はもちろん、聴かない人でさえその名は一度ならず耳にしたことがあるであろう〔皇帝〕カ…
いかにも現代的な題材を取り入れた家族小説。だが家族小説とするには少しパンチが足りなかった。それでもここまでリーダビリティがあるのは実力の裏返しなのかも。
『贖罪』で感じた印象やお仲間さんなどから聞き知った湊作品の共通点などを考慮すると、本書もまた湊さんら…
ロックにはロックの、ポップスにはポップスの良さがある。本書はクラシックの愉しさを手取り足取り伝えてくれる入門書なのデス(笑)
ツイッターなどでも交流させていただいてる方は知っていただいてるかと思いますが、最近ものすごくクラシッ…
今回はメタ要素こそなかったが、三津田信三らしく〔死相〕と〔怪奇現象〕をもって確かなミッシングリンクを演出してくれた。残念な箇所は多々ある。だが、この作家の遊びを発見する喜びは作品の優劣に関係しない。
本書の主人公・弦矢俊一郎は探偵事務所を構える青年であり、〔死相学探偵〕という肩書きにあるように「他人…
この作品のテーマはいじめだろうが、これは表現方法でしかないような気がした。それがいいか悪いか難しいが、本書のエッセンスは善と悪という哲学的なものなのだ。永井均が師であるいかにも川上未映子らしい内容だ。
川上未映子の作品が苦手という方は多いかも知れない。実は僕もそうだ。それは作品の内容というよりも、あの…