慈雨
静かな語り口の中に踏み固めた地面のような力強さがある。
警察官を定年退職した神場智則は長年連れ添った妻香代子と四国巡礼の旅に出る。16年前に神場が手掛けた残…
本が好き! 2級
書評数:25 件
得票数:281 票
読書記録。
静かな語り口の中に踏み固めた地面のような力強さがある。
警察官を定年退職した神場智則は長年連れ添った妻香代子と四国巡礼の旅に出る。16年前に神場が手掛けた残…
未来に輝けるほどの明るさは見出せなくてもかすかなともしびが見える、ほんのり心温まるストーリー。
「今」を切り取ったような小説。現代の若者が苦悩するものは先代のそれからすればくだらないものかもしれな…
ノスタルジーに埋もれる。
何でもない場面で涙が溢れそうになるのは、青春というものが如何に特別で過ぎた者にとっては二度と戻らない…
特別な存在となった人間がおぞましい事件の犯人だったら、自分に問う一冊。
自分の日常に溶け込んだ人間がおぞましい事件の犯人だったら。日々垂れ流される事件のニュースに被害者の悔…
読み終えてからこれが東日本大震災の何年も前に書かれた作品と知って更なる衝撃を受けた。津波によって全てを失い絶望の淵に立った3人の少年少女は、その後どう生きるのか。
映画化!の帯を見て衝動買い。三浦しおんの小説で映画化と言えば「舟を編む」が思い浮かぶ。原作映画共に大…
情景や心情の描写が繊細で文字を追っているのに映像を見ているような錯覚をおこす。私はこのひとの書く文章が言葉選びが、とても好きです。
売れない劇作家と大学生の恋はこのまま上手く行くはずだった。決して贅沢とは言えない暮らしの中でも会話と…
夫婦って何だろう。愛って何だろう。大切なひとの死から始まる人間臭さが詰まった温かな物語。
ある日突然当たり前のように隣にいたひとが亡くなってしまった時、残された者たちはどうその死と向き合えば…
美しい文章で語られる大人の切ない恋愛小説。
知的で洗練された大人の男女の想いが交差する恋愛小説。神様の悪戯なのか狂って行く歯車、大人ゆえの選択。…
ダイナミックに繊細に、そしてリズミカルに進むストーリーに目が離せない!
国際的なピアノコンクールが舞台。登場人物それぞれの個性が魅力的で見事に惹かれる。優勝するのは誰か。誰…
マニュアル通りに生きることって、善なの悪なの?
切口が面白い。自分の思いに沿った言動は周囲に理解されず困惑を呼ぶ。いわゆる空気の読めないやつ。そんな…
静かな森にこだまする音色に包まれ、気付くとひとりの青年の虜になっていた。
静かな森にこだまする音色に包まれ、気付くとひとりの青年の虜になっていた。 主人公である外村は朴…
甘く切ない恋愛小説。ページをめくり返しては辻褄合わせをした。きっと主人公と同じように。だって、納得が行かないもの。
筒井康隆の「時をかける少女」を思わせる甘く切ない恋愛小説。 途中何度も指を止め頭の中を整理して…
「もっと欲しい」そんな物足りなさが残った。良くも悪くも。
期待値が高過ぎたのかも知れない。芥川賞、介護問題。面白そうな匂いしかしないもの。蓋を開けて見ると、は…
児童書だけれど、大人が読んでも十分面白い。静かな感動作。小学校高学年から中学生に、是非読んで欲しい一冊。
「思春期だから」なんて、ひと括りにしちゃいけないんだ。複雑に絡まり合った糸が解れずにひとり悩み続ける…
儚い命と淡く消え入りそうな感情、淡々と流れる現状。跳ねる青春。どれも絶妙なバランスで成り立っていて、きっとすべては必然だった。溢れる涙を拭うことすら忘れてしまう、心揺さぶられる感動の一冊。
自分とは両極にいるはずだった明るく人気者のクラスメイトの桜良。ところがある日、彼女が書き綴っている「…
小学生から中学生へと成長して行く少女の、内なる混沌。歪な性への憧れと欲望と、醜い自身への絶望。あまりの惨めさに目を背けたくなりながらも、結局最後まで読み進めてしまった。
いわゆる開発途中の新興住宅地に住む結佳は、この街が嫌いで堪らない。転校生の多いこのニュータウンの中で…
2匹のねずみが小さなその手と手をつないで歩く姿が何とも可愛らしい、ほのぼのとして心あたたまる絵本。ぬくもりのあるグリーンの表紙が目を引く。
とにかく絵が可愛い、このひと言に尽きる一冊。主人公である2匹のねずみは勿論、ことり、森の木々から葉の…
ダサい大人にはなりたくない。がむしゃらにカッコよく、高校生だった彼らが駆け抜けた1995年。それは地下鉄サリン事件が象徴するように激動の年だった。そして20年後の再会で知った真実とは。
広重秋久に届いた一通のメール。それは彼が20年前に卒業した星城学院高等学校の女子生徒 新村萌香からの…
ひとたびページを捲ればもう、桐野夏生の混沌とした世界に迷い込み抜け出すことが出来ないだろう。読み応えのある、まさに傑作。
幼少からの植付けは想像を絶する根深さで、人格を拗れさせ歪な感情を生む。血縁ゆえの憎しみを超えた絶望的…
紛争が絶えないアフガニスタンのある地区で、地域の力で夢を託して建設された「山の学校」。そこで出会ったひとりの少女マジャミン。写真家長倉洋海が、彼女らの生活を生き生きと映し出す。
アフガニスタンの平均寿命は48歳で、世界で2番目に短いそうだ。そして長倉氏が訪れたこの学校では生徒の…