書評 幽霊狩人カーナッキの事件簿
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こういう小説、というか世界観があるのは知りませんでした。
かなり不思議な読み物だと思います。
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今回手にしたのは、20世紀初頭のイギリス文学。主人公「トマス カーナッキ」が友人4人を招いて、「心霊現象を探求した経験談」を(一方的に)語る小説だ。
「幽霊狩人・ゴーストハンター」というと、小野不由美氏の『悪霊シリーズ』を連想してしまうのだが、著者は1887年生まれのW.H.ホジスンというイギリスの小説家で、この人、なんと、第一次世界大戦で戦死しているのだそうだ。
みかん星人も、ご他聞に漏れず、子どもの頃には「オカルト」関心があった。当時「オカルト」というと「中岡俊哉」という人が有名で、中学の文化祭でお化け屋敷の企画が上がった時に、中岡氏の心霊写真を大きく引き伸ばして展示した。現像のために借りた理科室の暗室の赤い照明の中で、印画紙に浮かび上がる心霊写真に背筋が寒くなったのを覚えている。
(調べたところ、中岡氏は2001年に亡くなられていた、、、合掌)
初出が1910年という作品をはじめとして10篇の短編が収録されている。面白い事に、総てが「オカルト的な結末」では無いのだ。「不思議な出来事だった」で終わるものもあれば、「何の事は無い、枯れ尾花だったよ」という結末もある。そのバランス具合がなかなか上手く、意外と楽しませてもらえる。
(それは、もちろん、本書の編集者の力だけれど・・・)
「オカルト」と思って読んでいると、しかし、まるでSF小説のようにも思えたりする。不思議な装置(なんと真空管!<鉄腕アトムみたい)で結界を張ってみたり、『シグザンド写本』だの『サアアマアア典儀』といった謎の古文書や、【サイイティイイ現象】とか【アイイリイイ現象】という事をまことしやかに語る。それはまるで【ミノフスキー粒子】が本当に存在していると信じてしまうように、見事な世界観を構築して、可笑しな程の科学的姿勢に感じてしまう。
というよりも、20世紀の初頭においては、「オカルト」と「サイエンス」は似たり寄ったりの存在だったのだろう。1910年というと、ヴィクトリア女王を引き継いだエドワード七世が逝去した頃。「自動車」が庶民の手が届く可能性のある夢となり始め、そして1912年にはタイタニックが就航する、丁度その頃の価値観なのだ。当時の雰囲気が充満していて、その部分では大変に興味深くもある。
語り口が、また、独特で、冒頭に書いたように、「カーナッキが、自宅に招いた4人の友人に語る」というスタイルとなっていて、それを聞き手の一人が本に認めたという体裁。つまるところ、ホームズの言動をワトソンが書き記したのに似ている。
が、総てはカーナッキの「物語り」なので、「諸君、その時の僕の恐怖を理解してくるだろうか?」といった感じで、どこと無く稲川淳二氏を連想してしまったりもする。
さて、読後、ふと考えたのだけれど、、、ホラーというか、オカルト系にはちゃんとしたファンというのがいると思うし、そういう人々にとって「ホジスンが新訳・新刊なった」というのは、朗報なのかな?なんて思うけれど、どれほどの需要があるのか、不思議な気がした。
尤も、ホームズの小説だって、今の時代、どれほど読まれるのかは知らないが、似たような存在なのかもしれない。
なんとなく、読者層を想定できない、と、久しぶりに感じた読書となった。
(ブログに2009年4月30日掲載の記事を改訂転載)レーティング:
掲載日:2009/05/06
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:375
- ISBN:9784488536022
- 発売日:2008年03月24日
- 価格:1008円
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『幽霊狩人カーナッキの事件簿』の本が好き!書評
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こういう小説、というか世界観があるのは知りませんでした。 かなり不思議な読み物だと思います。
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結末を予想しながら読み進めていくのがおもしろいです。
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幽霊狩人が、胡散臭そうかと思えば、そうでもなかったり。作品の古さが、いい感じで物語のムードを盛り上げています。
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真空管を使った電気式五芒星、怪しげな道具を駆使して、怪しげな妖魔と対決するカーナッキの物語
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結構怖かったです。でもカーナッキにはちょっと笑っちゃいました。
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浅学な私はドイルとほぼ同時期にこのような面白い作品を書く作家がいたと存じませんでした。夜読んだら、背筋がひやり。予想通りの格好の納涼本となってくれました。
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古い作品なので文体がやや堅苦しく感じましたが、カーナッキが畏れおののきながら、怪奇現象に対処するのが人間味があって良かった。豚の見方が変わるかも?
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キャラクター設定がうまく入ってきませんでした。
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主人公カーナッキは可愛げのある憎めないやつだ。「(霊現象に関する)百の報告のうち九十九件まではまったくのくわせものだ」と言い放つかと思えば、夜中に聞こえるささいな物音や蝋燭の不意に消える様を見てビクビクすし、霊と対峙するに至ってはあまりの恐怖に我慢できなくなると逃げ出してしまう。とても可愛いじゃない…
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