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Wings to fly
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冒険物語の王道ここにあり。
16歳の見習い騎士ティウリは、騎士叙任式前の最後の試練の夜を迎えていました。誓いを立てる前に「神よ任務への力を与え給え」と礼拝堂に籠って祈るのです。一晩中、話したり、外からの声に耳を傾けたりしてはなりません。ところが、差し迫った助けを求める声が聞こえ、ティウリは悩んだ末に扉を開けてしまいます。

見知らぬ男から隣国の王への手紙を託され、思いがけない旅にでることになったティウリ。その行く手には、様々な陰謀や困難が待ち受けていました。
試練を乗り越えられずに逃げたと思われているに違いない。だが、大事なのは騎士になるための儀式なのか、それとも騎士らしい行いなのか。間違ったことはしていないという信念、潔い行動は、次第に彼の運命を切り開きます。

舞台は中世のヨーロッパに似た国々。王様に騎士、修道士や姫も。この世界に魔法は存在しないので、困難は頭を使って解決しなくてはなりません。葛藤を乗り越える強さ、友情、決断と責任などのテーマを盛り込んだストーリー。中でも強い印象を残すのが、大山脈に住む隠者のメナウレスです。知恵深く優しいこの人が、なぜ人も通わない場所に住んでいるのか。彼の正体を知ったティウリは、尊い平和を守るためになされた行為に、尊敬の思いを新たにするのです。

王の道化は言います。
悪に対して戦う時、あなた自身が、まだ善ではないことを、忘れないでいて下さるように。
少年らしい無邪気さの中に、気品を漂わせた主人公。真の高潔さへの問いかけを随所に感じる作品です。波乱万丈の展開には、わくわくしながらページをめくる楽しみがあります。

本書は、オランダの優れた児童文学に贈られる「金の石筆賞」を受賞しています。そして、各年の受賞作50作品の中の第一位に選ばれました。登場人物の清々しさは、実に気持ちの良い読後感を残してくれます。


☆上下巻合わせた書評です。
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Wings to fly
Wings to fly さん本が好き!免許皆伝(書評数:862 件)

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