DBさん
レビュアー:
▼
政治のために書かれた神話
アウグストゥスに関する本を読んで、彼が自分を神格化するために伝説を作り上げて宣伝したという話が出てきました。
それまでオウィディウスの本書はただローマ神話をまとめただけだと思っていたが、そういわれて読み直してみるとなるほどと思わされる。
まずは天地創造の神話からはじまります。
混沌の大地から創造主により世界が生み出され、天には星が輝き海には魚が、陸には獣を、そして大気には鳥が住むようになった。
さらに高度な知的能力を持つものとして人間が誕生したが、常春の季節が続き自然になった木の実や果実を食べて過ごす黄金の時代、ユピテルが支配権を握り四季が生まれて人間が家に住むようになった銀の時代、人間が武器を手に取るようになった銅の時代、そして悪行と暴力にあふれた鉄の時代と変化していく。
巨人族の血から生まれた人間は残虐で暴力的だった。
それゆえ神々は洪水を引き起こしてこれを滅ぼし、生き残ったひと組の夫婦が投げた石から新たな人類が誕生する。
聖書の神話と似通っていますが、洪水伝説の起源とバリエーションをたどっていくのも面白そうだ。
洪水の話の次はアポロンとダプネの恋が語られます。
アポロンの求愛を受け入れられなかったダプネが月桂樹へと姿を変える。
人の死を悼んで記念として変身させるには樹木や花に、罰として人の姿を奪った時には獣や鳥にかわるらしい。
もちろん神々も自らの姿を変えることができるのだけど、自らが変身するシーンが一番多いのはユピテルです。
ユノーの目から隠れて他の女に言い寄るために次々変身していくのは神々の頂点にあるものとしてどうなのかとも思うけれど、神の血筋である人間という神性を得させるために話が作られていったという事情もあったようだし。
オリンポスの神々の話や英雄ヘラクレスの話、トロイの戦いと神々の系譜に沿って話が進んでいく。
どのシーンも絵画のモチーフとして魅力的です。
もちろんメデイアとイアソンの話も出てきます。
メデイアは我が子を刺し殺そうとするシーンを描いた絵画が印象的だった。
トロイアの戦争が終わり、アイネイアスが海を渡って新天地へと赴く話となる。
デロスとクレタに立ち寄り、キルケの魔術で怪物に変えられてしまったスキュラをうまく避け、カルタゴで契りを結んだ女王ディドを後に残しイタリアへやってくる。
巫女シュビラの導きで亡き父の霊に予言されてラティウムへとたどり着きます。
アイネイアスが神となって、最後にようやくローマ建国の父ロムルスやヌマ、カエサル、アウグストゥスが登場して終わる。
ウェヌス女神の子孫だというユリウス氏族、神となったカエサルの威光をアウグストゥスに集めたような話だった。
それまでオウィディウスの本書はただローマ神話をまとめただけだと思っていたが、そういわれて読み直してみるとなるほどと思わされる。
まずは天地創造の神話からはじまります。
混沌の大地から創造主により世界が生み出され、天には星が輝き海には魚が、陸には獣を、そして大気には鳥が住むようになった。
さらに高度な知的能力を持つものとして人間が誕生したが、常春の季節が続き自然になった木の実や果実を食べて過ごす黄金の時代、ユピテルが支配権を握り四季が生まれて人間が家に住むようになった銀の時代、人間が武器を手に取るようになった銅の時代、そして悪行と暴力にあふれた鉄の時代と変化していく。
巨人族の血から生まれた人間は残虐で暴力的だった。
それゆえ神々は洪水を引き起こしてこれを滅ぼし、生き残ったひと組の夫婦が投げた石から新たな人類が誕生する。
聖書の神話と似通っていますが、洪水伝説の起源とバリエーションをたどっていくのも面白そうだ。
洪水の話の次はアポロンとダプネの恋が語られます。
アポロンの求愛を受け入れられなかったダプネが月桂樹へと姿を変える。
人の死を悼んで記念として変身させるには樹木や花に、罰として人の姿を奪った時には獣や鳥にかわるらしい。
もちろん神々も自らの姿を変えることができるのだけど、自らが変身するシーンが一番多いのはユピテルです。
ユノーの目から隠れて他の女に言い寄るために次々変身していくのは神々の頂点にあるものとしてどうなのかとも思うけれど、神の血筋である人間という神性を得させるために話が作られていったという事情もあったようだし。
オリンポスの神々の話や英雄ヘラクレスの話、トロイの戦いと神々の系譜に沿って話が進んでいく。
どのシーンも絵画のモチーフとして魅力的です。
もちろんメデイアとイアソンの話も出てきます。
メデイアは我が子を刺し殺そうとするシーンを描いた絵画が印象的だった。
トロイアの戦争が終わり、アイネイアスが海を渡って新天地へと赴く話となる。
デロスとクレタに立ち寄り、キルケの魔術で怪物に変えられてしまったスキュラをうまく避け、カルタゴで契りを結んだ女王ディドを後に残しイタリアへやってくる。
巫女シュビラの導きで亡き父の霊に予言されてラティウムへとたどり着きます。
アイネイアスが神となって、最後にようやくローマ建国の父ロムルスやヌマ、カエサル、アウグストゥスが登場して終わる。
ウェヌス女神の子孫だというユリウス氏族、神となったカエサルの威光をアウグストゥスに集めたような話だった。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:岩波書店
- ページ数:366
- ISBN:9784003212011
- 発売日:1981年09月16日
- 価格:798円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















