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DBさん
DB
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お米作りを体験した本
図書館の園芸コーナーでハーブ栽培の本を物色していて目に留まりました。
文芸コーナーで「ラブコメ」だけだったらスルーしたと思うが、「原田マハ」と「園芸」の絡みがわからず手に取ってみる。
原田マハが農業新聞に蓼科で米作りをする主人公の話を連載することになり、取材がてら一年間米を作ってみた体験を本にしたものでした。
けっこう本格的なワークショップだったそうで、長野の富士見で一組一畝100㎡の田んぼを受け持ち月に一、二度週末に農作業をして自分の手で米を作ろうという体験農業だ。

長野の富士見は富士山と八ヶ岳、南アルプスに囲まれたところで、ザ・里山という雰囲気だそう。
そこで「自然農」という肥料も農薬もつかわないで米作りをしていきます。
まるでダッシュ村のような雰囲気ですが、種籾の選別から始まり、苗床づくり、田んぼの畔づくり、そして田植えに草刈と農作業の風景が続く。
最初はおしゃれにスカートにレギンスといった農ガールファッションや、一点こだわり主義でマーク・ジェイコブズのレインシューズで参加していたメンバーだが、現実に直面した結果地下足袋のような長靴に完全防寒防水スタイルへ変化していくのも面白い。
祖母が農作業の時にかぶってた帽子もそのまま登場していて懐かしく思い出した。

農薬を使わず、稲を阻害しない草はそのまま残して虫の食害を防ぐ。
祖父母も兼業農家で瀬戸内海の方で自分たちが食べる分の米作りをしていたが、それとはだいぶ違った。
ビオトープの延長線上に米作りがあるようで楽しそうだ。
田植え機や耕耘機といった機械は使わず自分の手で苗を植え、鎌で刈り取る。
ワークショップだとそういう手法が受けそうだが、これが米専門の農家だと収支の問題もあって経営が成り立たなさそうだ。

ちょうど東日本大震災があった年だったそうで、食の安全や大地の恵みをより考えさせられる話になっていた。
お盆の頃に花が咲き、そこから稲穂ができて徐々に実っていくお米を守るために案山子づくりもしたそうです。
収穫から脱穀ももちろん手作業で行い一年間のすべてが詰まったお米が出来上がる。
一畝でだいたい50キロの米がとれて豊作だと言われたそうですが、炊きあがったお米を食べた時の感慨は特別だろう。

後半は原田氏と一緒に米作りをしたみづき水脈という漫画家が、米作りの一年間を漫画にしていた。
畝のつくり方や苗の植え方は漫画の方がわかりやすい。
さすがに長野まで通うのは無理だけど、近くでこんなワークショップやっていたら参加してみたいかも。
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DB さん本が好き!1級(書評数:2035 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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この書評へのコメント

  1. ぽんきち2022-03-14 21:21

    ラブコメって、本当に「米」を愛す、ってことなんですね。

  2. DB2022-03-14 21:40

    そうなんです
    米愛が伝わってきました(^-^)

  3. No Image

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