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たけぞう
レビュアー:
ちょっと無理をしていないか?
短篇二本である。
「いなか、の、すとーかー」「ウォーク・イン・クローゼット」
自分にとっては、どうも当たり外れがある作家さんのようである。

一本目のいなか、の、すとーかーは、若い陶芸師のお話。
美大を卒業し、本格的に陶芸を始めて三年の石居透のところに、ドキュメンタリー
番組の灼熱列島が取材に来た。
TVで番組が放映されると、人気が出ていろいろな話が舞い込み、周りとのギャップ
に苦しみ始めるというストーリーだ。

そもそも取材が来たのは、故郷の小椚村という田舎で頑張っているからだろう。
山の土を使い、沢の水を含ませ、納屋のような工房でろくろを回す。
窯入れの火は裏山の薪を使う。
そんな分かりやすいロハス感がポイントのようだ。

たしかに裏山に土は探しに行く。川の水は、ただそこにあるから使うだけ。
裏山の薪に至っては、そもそも他人の持ち物だから、足りない時にちょっと拾う
くらいはいいとしても、ベースとなるのは裏山から運んでもらっていたりする。
そんな作られた野趣と現実のギャップに、演技をして埋めていることに気づく。

TVの影響は思ったより大きく、喜んでいたら、あの女が来た。
東京にいたころから、ありとあらゆる発表会に現れる女。
わざわざ、ありえない登場の仕方で。

ストーカー女に話が集中するかと思ったら、主人公の煮え切らなさや、周りの友人
たちとの微妙な空気感が描かれていく。
展開が読めてしまうのは少々残念だったが、主人公と周りの心理面のぶれ方は
なかなか面白かった。

表題作のウォーク・イン・クローゼットは、申し訳ないが不自然さを感じてしまった。
洋服好きで、男の目ばかり気にしているオンナノコの生活。
著者のテリトリーになさそうな人物像を書いてみたかったのかもしれない。
こちらはちょっといただけなかった。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

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