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181 PV
chiezo さん
レビュアー:
妖しさ満載の幕末人物伝、ホラーバージョン!
人魚の肉を食べると不老不死を得るという伝説。
「義」や「志」を掲げて戦いを繰り広げ、歴史に名を残して
散っていった男たちがひしめき合った幕末の京都。
彼らの狂気に「人魚の肉」が関係していたとしたら・・・・。
坂本竜馬、岡田以蔵、中岡慎太郎、「新撰組」の近藤勇、土方歳三
沖田総司、芹沢鴨、山南敬助、伊東甲子太郎、斉藤一、その他
幕末のオールスターキャストで描かれるホラー時代劇。

『宇喜多の捨て嫁』が相当面白かったので、期待高まる二作目は
更に斜め上を行っちゃった。幕末の混乱期を駆け抜けた男たちが
人魚の肉で狂っていく様は、妖艶で不気味な怪奇物語になった。

幕末の新撰組とか、土佐藩の志士達は、国を憂いてその身を捧げ
悲劇のヒーローで表現される事が多い。もちろん、傍若無人な戦いっぷりは
アンチヒーロー然とする事も多いが、それでも国の命運をかけた時代の
端境期における活躍が、歴史を作った人物として、現代にも魅力を放ち続ける。

でも彼らの活躍に人魚伝説が絡んだとしたら・・・・・。

連作8話から成る物語は、竜馬と中岡が近江屋で語らう場面からスタート。
この2人が、ココでこれからどうなるのかは誰もが知るところ。
腹を空かせた2人が使いに軍鶏を取りに行かせている間、子供の頃の話で
昔を回想している。この2人と、後に「人斬り」と呼ばれる岡田以蔵の
3人が少年時代に土佐の海辺で体験した不思議話の1話目『竜馬の夢』。

少年時代の彼らが、土佐の桂浜で人魚を発見し肉を食らったんだけど
3人中2人の竜馬と中岡は、ここ近江屋で死んじゃうのよ。
あれー、不老不死じゃないじゃーん!とか思うんだけど
問題はやっぱり「人斬り」の異名を取った岡田以蔵のクレージーっぷり。
人魚との邂逅で「妖(あやかし)」に憑りつかれてしまう。

その人魚の血肉を京都へ持ち込んだのが岡田以蔵。
その肉が京都で巡り巡って新撰組隊士たちの口に入っていく。
食べた隊士たちは、高熱に襲われたり、喉の渇きに苦しんだり
見えないものが見えたり、次々と「妖」に憑りつかれる。

面白かったのはヴァンパイア化する沖田総司。
沖田総司は、若く美しく短命な剣士として「美青年」のモデルだけど
やっぱりヴァンパイアは「美しく」なくちゃいけない。
近藤勇だと、虎のパンツを履いた赤鬼にしかなんないからw
池田屋事件の沖田総司は喀血する場面が有名だけど
実は、吐いたんじゃなくて吸ってたって凄くない?

これだけ突拍子もない設定にしちゃうと、連作が破綻しそうな気がするけど
これがきちんと誰もが知ってる物語に辻褄があってくのが凄い。

芹沢の暗殺とか、山南の切腹に代表される内部抗争や、鉄の掟に萎縮する平隊士達。
やがて目的を見失っていく新撰組の終焉に至るまで
誰もが知るところの新撰組が「妖」に絡め取られていく。

そして『分身ノ鬼』では斉藤一がドッペルゲンガーと化す。
新撰組では長命で70歳くらいまで生きた人でもあり
次々と名前を変えて生きながらえた結果、最終的に明治政府の
警視庁に雇われちゃう、ちょっと変わった人生を送った斉藤一。
だからこそドッペルゲンガーとして入れ替わり立ち代わりの人格が
幕末から明治、大正まで活躍できたと思うと、妙に腑に落ちる。

確かにトンデモナイ設定で荒唐無稽な物語。
でもオトシドコロが史実に沿ってるから妙に面白い。
そして前作同様、表現のオドロオドロしさが物語の厚みに繋がっている。

これまで、幕末や新撰組を描いた作品は多々あるだろうけど
いまだかつてこれだけ斜め上を行く作品があっただろうか。

ここまでやってくれると、史実に厳しい時代小説ファンも文句は言えまい。
だってさ、桂浜に人魚が打ち上げられていそうに思えてくるし
お遍路さんの錫杖の音が耳の奥に小さく震えてくるしで
本作の妖しさは、現実にあるとしか思えないほどのリアルさだ。
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chiezo さん 本が好き! 1級 (書評数:704 件)

読書熱は一向に下がらず、本を読み続けてはいるのですが
なかなか当サイトを訪れる事が出来ず
「読んだ本」ばかりが増え続けております。

皆さんの書評を拝読できず、投票行為も止まったままですが
時折、投票されましたメールを戴き恐縮しきりでございます。

またチョボチョボと「読んだ本」から書評へと
移行させていきますので、よろしゅうお願いします。

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