著者の内藤陽介先生によると郵便学とは郵便を単なる通信手段としてだけではなく、不特定多数の目に留まることから「メディア」として機能してきた、あるいは機能させてきた事実から、「切手」というフィルターを通じて、その国や社会、時代や地域のあり方を分析し再構築することだそうです。
本書はタイトルのとおり、「反米」をキーワードにアメリカと激しく対立してきた過去をもつ国や地域の切手を取り上げることでアメリカが世界の覇者となっていく過程を振り返ることに主眼を置いた内容となっています。
まず「切手」という媒体をプロパガンダの一つとしてとらえた見たときの分析、時代背景考察の分析が非常に面白いです。
そもそも「切手」を発行するという行為自体、その国・地域の実効支配者である証明であり、その「切手」の絵柄にその実効支配者の何らかの政治的メッセージが組み込まれているということは当然と言えば当然なのですが、目から鱗の思いです。
たった数センチ角の切手に様々な思惑のエッセンスが凝縮されていること、その凝縮されたエッセンスの中から、発行主体である実効支配者がいったい「何」を対外的に発信しようとしたのかを読み取るという作業は非常に知的好奇心をくすぐられます。
本書を通じて、“メディア”としての切手が果たしてきた役割を知ることができたと同時に、アメリカは「味方を敵にする名人」、「国益に適わなければ同盟すら見捨てる」ということは別段いまに始まったことではなく、昔からそうだったということが良く分かります。
まあ、アメリカに限らず“大国”はみなすべからくそうであるとも言えますが。
日本の外務省幹部に是非読んでいただきたい一冊です。





【読書傾向】
新刊も読みますが「読みたい」と思った本はなぜか古本、絶版本、呼ばれているものが多く、どちらかというと「隠れた名著」と呼ばれるものが多いと思います。
【ジャンル】
政治、戦略、ビジネス、組織論、広報戦略、歴史、心理学等々
この書評へのコメント
- Scorpions2017-02-05 05:25
もし日本が〇〇していたら真珠湾攻撃はなかった?!-ハワイ併合の真実 福井義高
正論2017年3月号
http://amzn.to/2k7W1jD
昨年末に安倍総理も訪問したハワイ・真珠湾に関する記事。
真珠湾攻撃については賛否両論あろうかと思いますが、少なくとも真珠湾攻撃が日米開戦の決定打になってしまったという点においては誰しもが否定し得ない事実と言えます。
では、そもそもナゼ、太平洋に浮かぶ小さな諸島群に過ぎないハワイがアメリカ領だったのか。
この問いに明確に答えることができる人は中々いないのではないでしょうか。
月刊正論3月号では、米国によるハワイ併合について記事が掲載されていますが、
ハワイ併合の経緯は本書『反米の世界史』でも触れられていますので、興味ある方は一読されることをお勧めしたいです。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Scorpions2017-04-02 02:36
『内藤陽介先生がNHK第一にレギュラー出演決定! 4/13放送より #チャンネルくらら #郵便学』
⇒ http://ameblo.jp/scorpionsufomsg/entry-12261786178.html #アメブロ @ameba_officialさんからクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Scorpions2017-04-11 03:37
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『反米の世界史』感想
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切手は”小さな外交官”!
”反米”を語ればアメリカがわかる! 「味方を敵にする名人」であり、「国益に適わなければ同盟すら見捨てる」のはアメリカの常識クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Scorpions2017-12-24 05:00
PV30,000超え!
『反米の世界史』感想
http://bit.ly/2bZt7TR #本が好き #内藤陽介 #郵便学 #反米
切手は”小さな外交官”!
”反米”を語ればアメリカがわかる! 「味方を敵にする名人」であり、「国益に適わなければ同盟すら見捨てる」のはアメリカの常識クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:講談社
- ページ数:290
- ISBN:9784061497900
- 発売日:2005年06月17日
- 価格:798円
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