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たけぞう
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いまだに伝説の存在。
本は違いますが、先行書評はこちらです。「ちょわさんの素敵書評」
中原中也さんの名前は、おそらくほとんどの人がご存知でしょう。
でも、亡くなってから七十六年も経つんですよ。
それなのに、詩の一行一行はぜんぜん古びれていなくって、少々旧かな遣いがあっても関係なくって、いつもは詩を読まないわたしにも訴えかけるものがありました。

二度読んだのですが、正直にいって掴んだという気はしません。
何か感じるぞ、という程度です。
自分の鈍さが嫌になっちゃいますが、次もまた楽しめるからいいやと思うと、ふっと気持ちが緩みます。

どこかでこんな内容を読みました。
小説とは、作者が一歩距離をおいて作り上げた世界である。
エッセーとは、作者の考えを書き表わしているものである。
詩とは、読者の五感に直接訴えかけるものである。
ようするに、詩は感じろっていうことなんでしょうね。
全然分からないんですが、分かったようなふりをして読み進めました。

中原中也さんの詩集は二冊しかありません。
「山羊の歌」「在りし日の歌」です。
この文庫は、それに「未刊詩篇」から何作か引用し、一冊の本に仕上げています。
ちょわさんが紹介されているような、どこかで発表されたまま未収録の作品は収集していないようです。それでも、充分楽しめると思います。

特に、新保祐司という方の解説が非常に詳しくて助かります。
二十四ページもあって、ほとんど評論です。
ついでに、なぜか秋元康さんも文章を寄せています。
最後に年譜です。なかなかよくできた一冊でした。

さて。ちょっと恥ずかしいのですが、内容にも少し触れておきます。

「山羊の歌」に収録された作品は、健康的なもの、恋愛、失恋、寂寞など、取扱うテーマに親近感を覚えました。
帰郷では、カランとした晴れた空と、不安でいっぱいの心の対比が印象的でした。

あゝ おまへはなにをして来たのだと……
吹き来る風がわたしに云ふ


どきっとします。
この詩は、一回目に目にした時からぐいぐいと心に迫ってきます。
自分の心を見透かされているみたいに思っちゃいます。

夏という詩も印象的です。

血を吐くやうな 倦うさ、たゆけさ

夏の赤い光を表現するのに、すごい言葉を選ぶものです。
他にも、印象的な詩は多くあります。

「在りし日の歌」は遺作で、死の匂いが色濃く漂う作品が多いです。
三十才で夭折されていますが、この人の心は普通の人の一生分を生きたのではないか、
そんな気にさせられます。

「未刊詩篇」からの抜粋も心を打たれます。
完全に死を意識しています。

まだまだ書き足りないというか、いくら書いても伝えられないというか、
そんなもどかしい気持ちで胸がいっぱいになったところで、
突然で申し訳ないですが、
この書評を終わりにします。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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この書評へのコメント

  1. 綾瀬龍2014-02-06 23:13

    「春日狂想」なんかは冒頭から死が身近に感じられますよね。
    『 愛するものが死んだ時には、 自殺しなけあなりません』……。

  2. ちょわ2014-02-06 23:34

    わぁ~~!!待ってました!たけぞうさんの中也書評!
    リンクありがとうございますm(_ _)m

    「帰郷」のその部分は私も印象深くて、ずっと覚えています。中也の詩の中でも大好きな作品のひとつです。

    中也の魅力満載の素敵な書評を読ませていただけて、とても嬉しかったです!
    この書評をきっかけに、まだ中也に出会っていないひとが読んでくださったらいいなぁ(><)

  3. たけぞう2014-02-07 00:21

    >綾瀬龍さん
    ひやっとする言葉ですね。とっても中也的な部分、引用されたところだけでも充分堪能できますね。

    >ちょわさん
    大変大変お待たせしました。
    全然読みこめていなくて迷いましたが、えいやーで出してしまいました。
    お恥ずかしス。。

  4. 風竜胆2014-02-07 07:09

    山口市には、中也記念館があります。機会があればぜひ・・・(と故郷PR)w

  5. たけぞう2014-02-07 13:13

    >風竜胆さん
    ややや? それは知りませんでした。
    思わず巻末の年表をチェックしてしまいましたよ。
    山口出身だったんですね。
    いつか行ってみたいものです。フグを食べに(違っ

  6. No Image

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