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たけぞう
レビュアー:
エロくて痛い物語たちでした。
期待通りの世界でした。
だらしない男。だらしない女。勘違い妄想の人。
みんなみんな痛いんです。情けないんです。
だから、読むのが止まらなくなるんです。

五編の短篇集です。
「雨のなまえ」「記録的短時間大雨情報」「雷放電」
「ゆきひら」「あたたかい雨の降水過程」

デビュー作から一貫しています。
エロいんですよね。隙をみつけてセックスしています。
でも、何だか日常生活の臭いがして、全然やらしくないのです。
端的にいうと性的な部分を強調しすぎていないのです。

エロいといいつつ日常臭いとは矛盾しそうですが、お風呂に入る場合を例にとります。
グラビアアイドルが、おっぱいを左右から限界まで押し上げて、
タオルを乳首ギリギリまで下げて、ゆるそうなふりをしてしきりにタオルを上げ直す
入浴シーンは、わたし的にはエロい(=やらしい)のです。
これに対して、しずかちゃんの入浴シーンは、もはやエロですらない日常のひとこまなのです。
何を語っているのか分からなくなってきましたが、ようするに、
セックスシーンを読んでいても、あーあ、やらかしちゃったよという感覚になるのです。

世間的に成功した家で育ったなんの不満もない女性と結婚した不満だらけの男。
妻の妊娠を契機に浮気をします。

高潔な存在に照らしだされたウジ虫。

だらしない男が悪いことは疑いようもありません。
でも人間の醜さに気づかない妻は、自分の求める姿を押しつけるあまり、
人との調和を欠いているのです。

人と人っていうのは、お互いがあって成立するものだということを気づかされました。
理不尽かもしれません。
でも、自分一人だけいい人をしていても、ダメな時はダメなんだというやるせなさに包まれます。

これまで読んだ窪美澄さんの作品の中では、この作品の出来が一番いいとわたしも思いました。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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この書評へのコメント

  1. 風竜胆2013-12-19 07:07

    そんなにエロいんですか?
    少し興味が湧いてきましたw

  2. sayu2013-12-19 15:37

    めっちゃ気になる作品です。
    エロいのですね…!
    読んでみますww

  3. ゆう50002013-12-19 17:18

    窪美澄さんの短編集という時点で、なんだかそそられます。私も読んでみようっと。

  4. たけぞう2013-12-19 22:31

    >風竜胆さん、sayuさん
    えーーっと……(抜き書きしたい衝動に駆られながら自主規制

    >ゆう5000さん
    ども。いらっしゃいませ。
    窪美澄さんはこれで四冊目の読破ですが、この作品はバランスがいいんですよ。
    いま手元に、最後の一冊があります。年末のお楽しみです。

  5. ちょわ2013-12-20 01:12

    わぁ、これは読みたいです!読もうっと。
    日常生活の匂いのするセックスっていう感覚がすごく分かる気がします。グラビアとか二次元のエロと、実際の生活の一部になってることって違うんだよなぁと思って。

    最近、完璧だったりスゴかったりする偉人の話よりも、痛い人の話のほうに惹かれます。そんな自分にはこの本はうってつけな気がします。

  6. たけぞう2013-12-20 06:52

    >著輪さん
    おはようございます。
    妙に生々しいというか泥臭いというか。
    そんな感覚が伝わって嬉しいです。

    実は書評の中で少し迷ってですね、「におい」の漢字です。
    ちょわさん「匂い」を使われましたが、わたしは悩んで「臭い」にしました。
    細かなこだわりを滑り込ませております。

    どうぞ、いってらっしゃいませ ♪

  7. No Image

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