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かもめ通信
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書店員が選ぶ“書店大賞”に向かって放たれた謎を解く?!授賞式当日の書店員&出版者営業部員の活躍を描く本作は、東京創元社ミステリ・フロンティア創刊10周年の記念企画作品だけあってサービス満点?!
自らも書店員の経験があるという著者・大崎梢さんの人気シリーズ『成風堂書店事件メモ』は、「本屋の謎は本屋さんが解かなきゃ!」がキャットフレーズ。
しっかりものの書店員・杏子さんと手先は不器用だけれど勘のするどいアルバイト大学生・多絵ちゃんが、書店で起こる謎や事件を鮮やかに解き明かす、書店ミステリだ。
(参考レビュー:『配達あかずきん』

一方、本が大好きで、本にかかわる仕事がしたいとは思うものの、とある理由から編集部だけは避けたかったという出版社の営業部員井辻くんが主人公のシリーズは、地味で不器用で人前で何かをしゃべるのは大の苦手という一見営業向きとは思えない主人公と、ユニークな同業他社の営業部員たちが活躍するミステリで、出版界の裏事情などを垣間見ることが出来るという点でも面白い。
(参考レビュー:『平台がおまちかね』


なんとこの二つのシリーズがついに交わるときが来た?!
それがこの作品、東京創元社ミステリ・フロンティア創刊10周年の記念企画なのだそうだ。


ユニークな登場人物たちが、所狭しと活躍する本作の舞台は、年に一度のイベント、書店大賞授賞式の当日。
楽しみにしていたイベントのその日、書店員チームと出版社チームはそれぞれ、予期せぬタイミングで難問を抱え込む。
どうやら「書店大賞」の事務局に、何者かが不審な働きかけをしているらしいのだ。


いつものようにライトミステリであることには変わりがないが、それぞれの行動が時間軸にそって語られて、あっさりと見破ることが出来る「謎」もあれば、すっかりミスリードに乗っかってしまう「謎」もある多重構造は、両シリーズの定番でもある連作短編とはまた違った面白さがある。


その一方で、2つのシリーズが合体しているため、個性的なレギュラー陣が多すぎて、シリーズの他の作品を読んでいないと、なかなか話について行けないかもしれないという懸念はある。


元々2つのシリーズを愛読している私にとっては、大賞にノミネートされた架空の小説の紹介など小技もきいている他、大中小さまざまな書店が抱える悩みや問題、出版界の裏事情、○×大賞の功罪に、本好きならではのあれこれと、興味深いエッセンスがたっぷり投入されていて最後まで楽しめる作品だった。


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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2235 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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