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献本書評
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本書の舞台となっているドリームワールドは、人の記憶をはじめ、全世界のデータによって構築された仮想地球と読んでもよいSNSです。そこを舞台に二人のもてない中学生が展開する怒涛のサスペンス劇です。
実を言うと本書は献本御礼ということですが、なんと、作者であるD Mito氏より直接、僕のほうに書評を書いていただきたいと指名を受けたことをを借りて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

物語は近未来。具体的には2020年の6月8日から始まります。ここでは『ドリームワールド』というSNSが中心になっており、そこでは人の記憶はおろか、あらゆるものが共有されているまさに『仮想地球』という世界で繰り広げられる物語です。主人公は中学生。14歳の中学生の大翔(はると)君は父親である刑事の失踪の真実をつかむべく、親友でゲーム会社の社長の息子である優太とともに大翔が独自に開発したというハッキングツールを使ってその行方と探すというところからスタートします。

全体を貫く文体は主人公の独白体を貫いており、こういう文体の小説を読んだのは太宰治の『駆け込み訴え』以来だったので、実に久しぶりのことだったのでなれるのに正直、時間がかかりました。やがて、彼等は世界的なハッカー(この場合はおそらく『クラッカー』という言葉が適当かと思われる)『電撃魔術師』の異名を持つダークマジシャンと出会うことになります。

ダークマジシャンと『旧知』であった優太に驚きつつ、警察のデータに進入した大翔と優太は優太の姉である女子大生であり情報工学を専攻する少々過激な姉に見つかり、こっぴどくしかられることとなりますが、彼女があとで大きく活躍するのです。やがて、大翔はドリームワールドの中にある父親が失踪したきっかけとなったある『事件』の記録映像を見つけ、大きなショックを受けます。それに加えて、父親の浮気現場まで発見した彼はさらにショックを受け、家に帰れば両親は離婚の話をしていて、父親は出て行くという衝撃的な展開を迎えます。

思い描いていた未来がすべて瓦解し、呆然となる大翔。その1週間後、なんと大翔の講座に500万円もの大金が振り込まれている、ということに彼はとてもびっくりします。驚いて雄太に聞くと、ダークマジシャンに大翔の開発したミラーサーバーを1000万円で売却してそのお金を山分けしたとのこと。これが後の大惨事になっていくのです。ミラーサーバーを使って自分の陰謀を遂げようとするダークマジシャンことcloud face。ゴメスという筋骨隆々の男たちに襲撃されて動けない大翔と優太。

ネットの世界とリアルの世界で同時に繰り広げられるテロの惨劇を彼等はいかにして食い止めるのか?詳しくは本書を見ていただくとして、ここに書かれていることの大半は筆者いわく、すでに現実のものとなっているらしく、僕は読み終えた後にこの『ドリームワールド』というシステムは以前読んだ平野啓一郎氏の近未来を舞台にした小説『ドーン』に描かれる民間によって全域化した監視システム《散影 divisuals》やインターネットを基盤にした無領土国家< プラネット>と同質のものと思ったのでその旨をツイッターで筆者に直接問い合わせてみると、『ドーン』自体は読んだことが無いと、前置きがあった上で以下のような返答が帰ってきました。

「実は、この小説世界のテクノロジーは既にある程度あります。そこで完成形が生まれるという前提です。私が最近のコンテンツ業界で思うのはアニメ界であれ小説界であれそれぞれ現実との遊離の距離を離そうと競っているようになっている事で一般性を失っていく事が世界マーケットに通用しないガラパゴスコンテンツになりつつあるのではないかという危惧です。そこでドリームワールドでは世界中の人が読んでも解る日常的問題とSF的未来設定を合わせて世界に通用する作品を目指しました。よろしくお願いします。」

とのことで、作者とこうしたことで『対話』ができる機会を設けていただいたことを感謝しつつ、10台の少年がすでに完成度の高いシステムを構築できることや、それを悪用してある人間一人の憎悪で地球規模のテロ事件を起こしうることもできる。我々はこういう社会に生きているんだなということを再認識したような気がいたしました。最後に改めて、本書の感想を書いていただきたいとご指名いただいた作者のD Mito氏に心から感謝御礼申し上げます。ありがとうございました。
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掲載日:
有坂汀 さん 本が好き! 1級 (書評数:2391 件)

有坂汀です。偶然立ち寄ったので始めてみることにしました。ここでは私が現在メインで運営しているブログ『誇りを失った豚は、喰われるしかない。』であげた書評をさらにアレンジしてアップしております。

読んで楽しい: 9票
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この書評へのコメント

  1. D Mito 2013-02-01 16:08

    有坂先生書評有難う御座います。よろしくお願いします。

    1
  2. 有坂汀 2013-02-01 17:45

    >D Mitoさま
    コメントありがとうございます。本当に楽しく拝読させていただきました。ただ、『先生』と呼ばれるのは恐縮です…。

    0
  3. D Mito 2013-02-01 18:07

    失礼であればお許し下さいませ。今後ともよろしくお願いします。

    2
  4. 有坂汀 2013-02-01 18:35

    いえいえ。こちらこそ、直接指名をいただき誠にありがとうございました。

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  5. No Image

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