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気恥ずかしいほど、ブンガク

ナラタージュ
深く沈み、時折、浮上しては、息を吸い込む。奮発した花粉症用目薬を何度もさして。もう頭が回らないと見切りをつけちゃ、アルコールを補給する。


柄にもなく『ナラタージュ』島本理生著を読む。うわっ!古くせえ。が第一印象。なんとなんと恋愛小説のメインストリームではあーりませんか。年上の妻子ある男性(先生)と同世代の男性の間に揺れる乙女心。これで学生運動のセクト抗争あるいは宗教など精神世界つーかカルト風味を利かせたら、60年代から70年代にタイムスリップしたような。

いちばんらしいのが性描写で、観念的、じゃないな、いかにも「文学」的。チャーリー・パーカーを聴いてサックスを始めた矢野沙織のような。若者はコンサバ、保守的って図式を当てはめていいものやら。二度と流行らないだろうと思ったベルボトムがリバイバルしたし。単なる回帰趣味ではなくて真摯な愛。オヤジがこっそり食べるプリンのような。悲しいほどお天気、ではなくて、気恥ずかしいほど、ブンガク。

  • 掲載日:2025/11/07
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