Yasuhiroさん
レビュアー:
▼
今でも私の日本SFオールタイムベスト1。萩洗会の私ではあるが、表紙絵は萩尾先生のイラストを推さない。小説と漫画は全くの別物だし、阿修羅王のイメージが固定されてしまうのは初期に読んだものとしては悲しい。
マーブルさんのレビューに刺激されて、恥ずかしい昔のレビューを引っ張り出してきました。もうブクレコのレビュ―は出すつもりはなかったんですが、許してください。改変なしで載せますので、懐かしいお名前がありますよ(笑。藤岡正樹さん、今でもご健在です(笑。
---------------------------------------------------
ブクレコつわものの皆さんには及ぶべくもないが、これがマイ書棚200冊、切りのいいレビューになる。
その記念に自分にとって思い出深い本を選びたい、と悩んでいた。そんな折りも折り、ブクレコ某所でこの本の名を目にした。まさしく天の啓示である。
私がもし日本SFオールタイムベスト1を選ぶとしたら迷わずこの作品を選ぶ。
早川書房から文庫版が出た当時、私は奈良市にある某中高一貫校へ通っていた。通学路には興福寺がある。
そして興福寺には有名な「三面阿修羅像」がある。私は何度も何度もこの小説を読み、何度も何度も阿修羅像を拝観したのだった。
それくらい、この小説の阿修羅王は魅力的である。プラトン、シッターダ、ナザレのイエス、イスカリオテのユダ、そして永遠の「天敵」である帝釈天、これほどの「ビッグネーム」を圧倒して阿修羅王には圧倒的な存在感と圧倒的な「哀しみ」がある。
56億7千万年後に顕現するという弥勒、キリスト教における最後の審判、宗教にはこの世の破滅とそれに対する救いの予言がある。しかしそんなものは世界を救いはしない、そう知った主人公たちは超越者たるものに果敢に闘いを挑む。しかし所詮勝てる相手ではない。宇宙はやがて熱力学的死を迎えるのだ。
そのような果てしない時間の果てにある「虚無」の世界にただ一人生き残り、そこからなお先にある百億の昼と千億の夜を阿修羅王はただ一人戦い続けていくのだ。
この小説では闘神阿修羅王が少女として描かれている。これについてはさまざまな論議があったが、私は興福寺の阿修羅像の面立ちにその理由があると思っている。
萩尾望都の描く阿修羅王も魅力的ではあったが、私にとって「百億の昼と千億の夜」の阿修羅王は興福寺の憂いを湛えたご尊顔なのだ。
最後に、この本を思い出させてくださった、efさん、mitarai01さん、藤岡正樹さんに深く感謝します。ありがとうございました。
----------------------------------------------------
あらためて光瀬龍氏のご冥福をお祈りする。日本SFBIG3以上の存在であった、私にとっては。
---------------------------------------------------
ブクレコつわものの皆さんには及ぶべくもないが、これがマイ書棚200冊、切りのいいレビューになる。
その記念に自分にとって思い出深い本を選びたい、と悩んでいた。そんな折りも折り、ブクレコ某所でこの本の名を目にした。まさしく天の啓示である。
私がもし日本SFオールタイムベスト1を選ぶとしたら迷わずこの作品を選ぶ。
早川書房から文庫版が出た当時、私は奈良市にある某中高一貫校へ通っていた。通学路には興福寺がある。
そして興福寺には有名な「三面阿修羅像」がある。私は何度も何度もこの小説を読み、何度も何度も阿修羅像を拝観したのだった。
それくらい、この小説の阿修羅王は魅力的である。プラトン、シッターダ、ナザレのイエス、イスカリオテのユダ、そして永遠の「天敵」である帝釈天、これほどの「ビッグネーム」を圧倒して阿修羅王には圧倒的な存在感と圧倒的な「哀しみ」がある。
56億7千万年後に顕現するという弥勒、キリスト教における最後の審判、宗教にはこの世の破滅とそれに対する救いの予言がある。しかしそんなものは世界を救いはしない、そう知った主人公たちは超越者たるものに果敢に闘いを挑む。しかし所詮勝てる相手ではない。宇宙はやがて熱力学的死を迎えるのだ。
そのような果てしない時間の果てにある「虚無」の世界にただ一人生き残り、そこからなお先にある百億の昼と千億の夜を阿修羅王はただ一人戦い続けていくのだ。
この小説では闘神阿修羅王が少女として描かれている。これについてはさまざまな論議があったが、私は興福寺の阿修羅像の面立ちにその理由があると思っている。
萩尾望都の描く阿修羅王も魅力的ではあったが、私にとって「百億の昼と千億の夜」の阿修羅王は興福寺の憂いを湛えたご尊顔なのだ。
最後に、この本を思い出させてくださった、efさん、mitarai01さん、藤岡正樹さんに深く感謝します。ありがとうございました。
----------------------------------------------------
あらためて光瀬龍氏のご冥福をお祈りする。日本SFBIG3以上の存在であった、私にとっては。
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
馬鹿馬鹿しくなったので退会しました。2021/10/8
- この書評の得票合計:
- 34票
| 読んで楽しい: | 10票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 21票 | |
| 共感した: | 3票 |
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:早川書房
- ページ数:473
- ISBN:9784150310004
- 発売日:2010年04月05日
- 価格:882円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。























