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かもめ通信
レビュアー:
もしかしてこれ、恋というものなのかしら?
高校で国語を教わったものの担任ではなかったセンセイと、
行きつけの飲み屋で再会した
30代半ば独り暮らしのOLツキコさんが
抑制のきいた静かな語り口でしっとりと語りあげる物語。

実を言うとこの本には、
以前先行レビューを読んで大慌てで手にした思い出がある。
高校時代に古文の先生に熱を上げた経験をもつ私としては
どうにも見過ごすことのできない設定だったのだ。
だが、2ページ目にあった1行で挫折した本でもある。

キミは女のくせに一人でこういう店にくるんですね
センセイのこのひと言にカチンときた。
まったくもって余計なお世話である。

こういう“偏見”をもっている人は
たとえ食べ物の好みがぴたりと合おうと
どこかしっくりくるような間合いで相席できようと
ロマンスグレーであろうとも
一緒にいて心地よくはなれないのではないかと思ったのだ。

ところがまあ、何の因果かこの本が
この度始まった課題図書倶楽部・2016 の課題図書に選定されてしまったがために
少々不安に思いつつも再びページをめくってみることにした。


センセイは確かに少し古い価値観を持っていた。
でもセンセイは同時に
新しいものを吸収する柔軟性も持っているし
真面目さも純粋さも思慮深さも包容力も持ち合わせていように思われた。

そう。
この物語はツキコさんの視点で描かれているのだ。
だから先生の登場シーンにはきっと
少し斜に構えたツキコさんのフィルターがかかっているのだろう。

もちろん、それに続くあれこれにも
センセイを想うツキコさんの気持ちの高ぶりとともに別のフィルターがかかっていく。
もしかして、別の誰かが語ったなら全く違った物語になったかもしれないが、
これはツキコさんが語るセンセイの話なのである。
ツキコさんのそれは次第に読み手の私に感染し、
私は思わず、「センセイ素敵♪」などと呟いてしまうのである。


これは果たして恋なのか?
若い人ならそんな疑問も持つかもしれない。

なぜ?どうして?なんてわからない。
それでもあの人のことが気になってたまらない。
恋ってそういうものだ。
いや、たしか、そうだった気がする。
たぶん。


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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:1097 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。

読んで楽しい:27票
参考になる:11票
共感した:3票
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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2016-02-15 06:24

    10冊の本からどれでも好きなものを選び、読んでレビューを書く!
    たけぞうさん主催のみんなで読みませんか? 課題図書倶楽部・2016
    http://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no241/index.html?latest=20
    ただいま開催中です!
    締め切りは5月末まで!
    皆様、ぜひお誘い合わせの上、ご参加下さい!

  2. 三太郎2016-02-15 07:49

    これ先日読んだのですが・・・レビューはまだ書けないあ。

    恋愛小説として読むと、ちょっと通俗的というか、中途半端というか・・・もう少し別の視点が必要な気がしました。川上さんの別の作品も読んでから考えます。

    ところで、僕は年齢的にはセンセイにかなり近いわけで、センセイがあまりに老人っぽいのがどうもねえ・・・(^^;

  3. かもめ通信2016-02-15 09:37

    >センセイがあまりに老人っぽいのがどうもねえ
    あははっ三太郎さん,それはしかたがないかも。
    私たちだって10代の頃は,30代のセンセイたちを「おじさん」だと思っていたはずですから(><)
    これがセンセイ側から描かれていたなら,また全く別の物語になったのでは~と思います。

    ちなみに私はこの作家さんの作品はこれまでアンソロジーなどでしか読んだことがなかったのですが“恋愛小説”として読みました。

    三太郎さんのレビュー,首を長くしてお待ちしています!
    UPされたときにはぜひぜひ,課題図書倶楽部へもお立ち寄り下さい!!

  4. 三太郎2016-02-21 21:43

    レビューを書きだしたら思わぬ方向へ筆が走ってしまいましたよ(^^;

    月子さんと先生の生まれた年を推定したら、先生は僕の父とほぼ同い年だったので・・・

    僕も結局、月子さんの側から先生を見ることになりました。月子さんと僕は多分同い年です。作者の川上さんは僕より一つ年下ですから、僕らは同年代なのでした。

    僕の父は88歳で亡くなりましたが、先生は若死にだったような。ちょと切ない小説でした。

  5. かもめ通信2016-02-22 04:59

    三太郎さんのレビュー楽しく拝見しました!
    私も年齢については少しは考えたのですが、年代については全く考えていなかったので目から鱗でした!

    もしも居酒屋のカウンターでツキコさんを見かけたら~私も「その後どう?」って訊いてみたい気はするけれど、結局声をかけずに、後ろ姿を眺めながら勝手にあれこれ想像してしまうかも。

  6. No Image

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