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ぱせりさん
ぱせり
レビュアー:
『はるかな国の兄弟』を思い出しながら読む
岩波少年文庫100冊マラソン60冊目


孤児ラスムスが「孤児の家」から逃げ出すところから物語は始まる。
風来坊のオスカルと出会い、新しい両親をみつけるために一緒に旅をする。


読みながら、この物語の始まりが『はるかな国の兄弟』に似ているのではないか、と思い始めた。
『はるかな国の兄弟』は、子どもの死後の冒険を描いた物語。わたしは、物語の最初に、子どもの死があることがずっとひっかかっていた。冒険の始まりで、なぜ子どもが死ななければならないのか。大好きなピッピやカッレくんの作者リンドグレーンの作だから、余計に気にかかっていたのだけれど、今、この本『さすらいの孤児ラスムス』を読みながら、『はるかな国の兄弟』に描かれた「死」は、思っていたような死ではないのかもしれないと思い始めた。
(ラスムスの)孤児の家からの家出、(はるかな国の兄弟の)子どもの死は、同じように一つの喩えだと思う。
その意味は、ともに、子ども時代(肉体)からの脱出で、自立の最初の一歩を意味しているのではないか。自分で選びとる人生の第一歩。


そして、この本、『さすらいの孤児ラスムス』。
「自由なのだ。森の鳥のように、めぐまれた自由なのだ」
これは、「孤児の家」を飛び出したラスムスが、最初に感じたこと。だけど、「自由」でいることの厳しさ、本当の美しさ、かけがえのなさを身をもって知るまでには、結構な冒険をしなければならなかった。たとえば、まさかの強盗事件に巻き込まれる、とか。
何より楽しかったのは、素敵な道連れに出会えたことだ。頼りになるかどうかはお互いさま、という感じもいい。


少年が広い世界に出ていく一人立ちの物語であることは確かだけれど、同時に、(最後まで読んだとき)遠いところから、帰るべき家に帰ってきたように感じた。初めて出会うラストシーンなのに、そこが懐かしい場所と感じた。



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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1749 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

読んで楽しい:4票
参考になる:20票
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